カテゴリー: お客様エピソード

2024.03.26

壊れてしまった指輪のお修理/

こんにちは。
久しぶりのコラムになりますね。
今日は、少し珍しい指輪のお修理を受けたので、その過程をコラムでご紹介したいと思います。

ものすごい形にひしゃげてしまった指輪です。


トップのハート部分にもこ傷が付いていますし、腕の付け根もちぎれかかっているのが見えますね。
人に置き換えると、重傷と呼べる状態だと思います。

実はこの指輪、実際に事故に遭われた方が身に付けていたものです。
その方も大怪我を負われたのですが、奇跡的に命は助かられて、私もこのお話を聞いた時は
心の底から「よかった・・!!」と思いました。

そしてだいぶ前に、こちらの指輪はサイズ直しを承っていたので、なんとなく元の形は分かっていました。



まずは、指ややっとこを使って、元の形に近づけてみます。

大体こんな感じでしょうか。
職人と相談したところ、元の腕は使わない方が良いと言う事になりました。
ここまで曲がってしまうと、いくら形を元に戻したとしても、金属自体が金属疲労を起こしている
可能性があるのです。
そうなると、いつまた折れてしまうかも知れません。

そこで、指輪の腕自体は1から作り直す事にしました。


トップの部分は、出来るだけこのままでお修理する事にしました。
この指輪は、旦那様が、奥様に婚約指輪としてご自身でデザインしたものなので
残せる箇所は、出来るだけ残したいのです。

トップの部分と腕は、後からポロリと外れてしまいました。
この元の腕に忠実に、新しい腕を作っていきたいと思います。

プラチナの棒です。
これを指輪の腕に成形していきます。


この棒を叩いて、指の腹側にあたる部分を広げていきます。


横に元の指輪の腕を置きながら、形を寄せていきます。



なましながら、金属の棒を巻いていきます。
(※なます→金属に火を当てて、金属を柔らかくする事)


少し近付いてきたでしょうか。




さらにやっとこや芯がねを使って、形を整えていきます。
形を整えながら、おおよそのサイズも出していきます。


右側が元々の腕、左側が成形したものです。
良い感じになってきました!


ここで、もう少し指輪のサイズをシビアに出していきます。
いらない部分をカットします。



実際にトップを挟んで、バランスを見ます。
良いですね。



細かいサイズと、形を丁寧に整えていきます。


右側が元々の腕、左側が成形したものです。
こちらで、腕は一旦完成としました。
強度を考えてと、仕上げの削りも考えて、元よりも少し厚めに作っています。
ここから、トップに溶接していきます。




トップと腕がきっちり合うように設置して


火を入れていきます。
ダイヤモンドは比較的、火に強い石なので、今回は石を外さずに溶接します。
指輪がプラチナ製なのも大きいですね。プラチナはとても熱伝導率が低いので
石にダメージがいきにくいです。

とは言え、一番良いのは石を外してから溶接する事です。
ただ今回は、トップの部分もダメージがゼロではなかったので
爪を起こしたりすると爪が折れてしまう可能性がありました。
そうなると、せっかくの指輪を(形を似せられたとしても)大幅に手を加えないといけなくなるので。
職人が慎重に慎重に進めました。



なんとか無事に溶接が終わりました。
石にもダメージはありません。



サイズもバッチリ出せましたね。
ここから、完成に向けて、形を整えていきます。



やすりで大まかに形を整えて


紙やすりのついたリューターで、表面を滑らかにしていきます。



これは、「へら」と言う道具で、プラチナの表面を更に滑らかにしているところです。
これを使って、小さな凹みなどもならしていきます。



「バフ台」という、大きな磨き粉のついた布が回っている台で仕上げ磨きをしていきます。


洗浄機で、磨き粉を落として




これで第一段階の磨きは完了です。どこも良い輝きを放っていますね。
ハートの部分も、傷が多かったので、一旦つや消しを落としました。


指輪の腕に押してあった刻印を、新しい腕にも再現していきます。



ハートのつや消し部分も再現していきます。
今回は、スポンジのやすりとガラスペンで再現してみました。


こんな感じでしょうか。



つや消しに当たらないように、最後の磨きをしていきます。


完成しました!


奥が、最初にに付いていた腕です。
良い感じに再現できたのではないでしょうか?




これで修理は完了です!

写真で説明すると長い長い(笑)。
1つの修理をするのに、これだけの工程を重ねて初めて、納得できるものが出来上がります。
いつもアトリエにカメラを持っていくのを忘れてしまい、ベストショットを撮り逃しているのですが
これからは、きちんとカメラを持って行こうと思いました。

お客様にも「指輪が綺麗になって戻って来て、気分が晴れた思いです。」と仰って頂き
とても嬉しかったです。
そのお言葉が、何よりのご褒美ですね。
ご依頼下さり、ありがとうございました!

2021.06.11

GIGA「企む(たくらむ)」が違う表情になりました。/

こんにちは。
昨日まで梅雨とは思えない暑さでしたね。

今日は、セミオーダーのご紹介をさせて頂きたいと思います。
今まで「セミオーダー」の枠をどう使えば良いのかよく分かっていませんでした(笑)。
これからは、こちらにもあげていけたらと思っています。


こちらが「誉ノ錺(ほまれノかざり)」の通常商品
「GIGA」シリーズ「企む(たくらむ)」です。

この作品を、いたく気に入って下さったのがBeautiful Stone様でした。

Beautiful Stone様と言えば、一昨年店舗で開催した
「ルースの展示販売会とジュエリーオーダー会」の共同主催者さんです。
詳しくはこちらのコラムをどうぞ。
「ルースの展示販売会とジュエリーオーダー会を開きます」
「無事に終えることができました」

去年は、コロナのせいで中止を余儀なくされ。
東京に、石の買い付けにも行けず寂しく悔しい日々を送っておりましたが
Beautiful Stone様とは、常に連絡を取り合っておりました。

そんな中でのこちらのオーダー。
とても嬉しかったです。


今回、Beautiful Stone様から秘蔵のモンタナサファイアをお預かりし
「企む」の杖の上に留めました。


綺麗なモンタナサファイアです。


他の写真では分かりにくいのですが、この「企む」は「黒うさぎ」の方です。
ルテニウムというメッキをかけて、艶々の黒色に仕上げています。
今回は、できるだけモンタナサファイアの色味を強調したかったので
「黒うさぎ」の方を提案させていただきました。


そして、このマント部分。
通常はブラックキュービックジルコニアなのですが
石をこよなく愛しておられるBeautiful Stone様ですので(笑)。
今回はブラックスピネルを入れてみました。

これが大成功!
キラキラ光って、モンタナサファイアとの相性も最高です。
自分で言うのもなんですが、大満足の出来になりました。


こちらが裏側です。
裏の細かい造形は、通常の「GIGA」シリーズ「企む(たくらむ)」と一緒。
ペンダントトップとしても、ブローチとしてもお使いいただけるので


こんな感じで、服に合わせて色々な使い方を楽しんでいただけます。

Beautiful Stone様が、HPにもあげて下さっているので是非ご覧下さい
GIGAシリーズ 企む(たくらむ)
こちらにはお値段も載っていますので、オーダーの際の目安にしていただければと思います。

作り手側としては、GIGAなどは本当に自由の利くデザインで
杖の上の石を差し替えたり、マントの石を変更したり、地金そのものも
金やプラチナに変えることができるのですが
そういう事はこちらがもっと積極的に発信しないと、お客様には伝わらないなと再確認しました。
Beautiful Stone様にも「〇〇もできるの!?」て色々聞かれたし(笑)。

もしご自身でお持ちの石を、留めたいと思う方がいらっしゃれば
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」まで、どうぞ遠慮なくお問い合わせ下さいね。
ラウンドでもオーバルでもマーキスでも、何でもお作りできますので。

いつもポジティブで、のろまな私をぐいぐい引っ張って下さるBeautiful Stone様
本当にありがとうございます!

2021.02.02

難しいフルエタニティリングの修理/

こんにちは!
今日はとても難しいフルエタニティリングのサイズ直しをご紹介したいと思います。

いつも思うのは「修理は作りを熟知していないとできない」という事です。
今回もとても難しいお修理で、例えば、私がこの修理の流れを知ったからと言って
出来るわけではありません。
職人さんが長年培われた技術と勘に感謝しながら、紹介していきたいと思います。


お預かりしたのは、この指輪。
某有名ブランドのフルエタニティリングです。
「フルエタニティリング」とは、一周ぐるりと石が留まっている指輪の事。
ご購入されたブランドでは「サイズ直しが出来ない」とお断りされたそうです。

2回ほどしか使っていないのに、サイズが合わなくなってしまったとお困りのご様子。
どうしても使いたいとのご要望でしたので、お受けすることにしました。



ぎっしりと石が留まっていますね。
側面も、つるんとした平坦な形ではなく凹凸があります。
石の裏側も、綺麗な四角に成形されていました。

素材はホワイトゴールドにダイヤモンドです。
サイズを2号大きくします。
サイズ直しの流れとしてはいつもと変わりません。

・糸のこを入れる箇所のダイヤモンドを外して
・糸のこで切って、地金を挟んでろう付けして
・形を整えた後に、ダイヤを留め直す

この工程全てに、今回は細心の注意を払います。


まずは、すり板の形をこのように削りました。
今回の修理用のすり板です。
石を外すにしても、糸のこで切るにしても、出来るだけブレを減らさないといけないのです。
切り口がぶれたり、石外しの時に指輪が動いたりすると後の作業に大きな負担がかかってきます。


こんな感じで配置します。


石を3粒ずつ外しました。
なぜ3粒外したかは、後からの工程で分かります。


糸のこで、空いた石座のど真ん中を切断しました。
見てるだけで恐ろしいです(笑)。


次に、切り離した指輪のサイズを、少しずつ広げていきます。
全体をゴム槌で軽く軽く叩きます。
急に広げると、石が割れたり指輪にひびが入ったりします。
ゆっくりゆっくり叩いていきます。


無事に、欲しいサイズまで広げられました。


このように地金を挟み


ろう付けをしました。


ロウがしっかりまわっているのが見えると思います。

ろう付けとは、ご存知の通り火をあてる事です。
もちろんダイヤモンドを痛めるリスクがあるので、石を最初から多めに外しました。
火がもろにあたる石は、出来るだけ減らさなければならないからです。

それでもリスクゼロという訳にはいきません。
出来るだけ早く火を通して、ロウが溶けた瞬時に火を指輪から離す。
この時に、指輪の切り口がガタガタだと、ろう付けもスムーズにはいきません。
今回は、全ての行程を手早く綺麗にしないといけないのです。


指輪に挟んだ地金を、ヤスリで成形していきます。


様々なヤスリで、形を整えて・・・


綺麗に指輪に馴染んでくれました。


次に石座を作っていきます。
今回は、ダイヤモンド2個分広がったので、アタリの穴を空けます。


ここからは、細かい作業になるので、顕微鏡の出番です。


アタリで付けた穴を大きく広げて・・・


溝を作って、周りの彫り留めと同じ石座を成形します。


裏側も、周りと同じような四角に成形します。
本当に顕微鏡さまさまですね(笑)。


石が留まりました。


指にはめてみました。
まだメッキをしていないので、地金の色が分かれていますね。
最後に仕上げ磨きをします。


メッキをかけて完成です!


指輪の中で一箇所だけ横長な六角形ができましたが、それ以外は見ても分からないと思います。

お客様には大変喜んでいただき、私達もほっとしました。

ブランドにもよると思うのですが
ブランド品は、元のブランド以外の業者で手を入れた場合
そのブランドとして買い取ってもらえなくなったり
元のブランドが修理してくれなくなったりする事があります。
ブランド品の修理をお考えの方は、その旨をご了承の上頼まれた方が良いと思います。

一番良いのは、販売したブランドが責任を持って、メンテナンスをする事だと思うのですが。
大きなブランドになると、そこまで手が回らないのでしょうか。

これからも、お客様が困った時の受け皿のようなブランドでありたいと思います。

2020.11.11

ダイヤモンドペンダントのリフォーム/

こんにちは。
だんだんと冬の空気になってきましたね。

今日はリフォームのご依頼を受けたので、その流れを写真と共にご紹介したいと思います。
題名の下の写真が、お預かりしたダイヤのネックレスと指輪です。

ネックレスのチェーンは切れていました。
ボールチェーンなので、修理する事も可能なのですが
せっかくなので、チェーンも一新したいとの事。

指輪の方はピンキーリングで、旦那様からのプレゼントだそうです。
ただ、ピンキーリングは他にも持っていらっしゃるので
今回、このネックレスと思い入れのあるピンキーリングの石を組み合わせて
新しいネックレスを作る事にしました。


まずは、ピンキーリングから石を外していきます。


手元はこんな感じです。
なぜこの箇所を切るかと言うと、石の留め方が関わっています。
この石は、指輪の両腕で石を挟む様な感じで留められています。
という事は、腕の片方を切って、幅をを広げれば石を外せるはずです。
石を外す時、一番大切な事は「留められている石を傷付けない事」だと思います。
石に出来るだけ負担がかからない様に、様々な方法を考える事も職人の腕の見せ所です。


カットができました。


切れた方の腕をヤットコで持ち、慎重に広げていきます。


無事に石が取り出せました。


綺麗なダイヤモンドですね!


次に、このダイヤモンドの石座を作っていきます。
画像の上の方に写っている線が、石座の爪になります。


石座を組み立てて、爪をロウ付けをして


石座ができあがりました。


次に大きい方のダイヤモンドを、石座から一旦外します。
ロウ付けしないといけないので、大きな石を留めたまま火をあてるのは危険ですものね。
こんな風に、ヒートフォームで石座を固定します。


これはプラチナなので、そっと石にかかっている爪を起こしていきます。


手元はこんな感じ。
薄い刃を、ダイヤと爪の間に入れて爪を起こす様な感じです。
気を付けないと、爪がちぎれたり、石に力が伝わって割れてしまうので細心の注意を払います。


無事に石座から外す事ができました。


先ほどのダイヤモンドの石座の裏に、小さな丸カンを取り付けました。


チェーンが通っていた隙間にも、丸カンを付けました。
これには大きな理由があるのですが、それは後ほどお話しします。

小さい方のダイヤモンドを、石座に留めていきます。


慎重に慎重に・・・。


石が留まりました。

次に大きなダイヤモンドの方も、元の石座に留めていきます。

無事に留まりました。
イエローダイヤは美しいですね!


両パーツとも、軽く磨きました。

先ほど付けた小さな丸カンもピカピカですね。
次にこちらを組み立てていきます。


丸カンに通して


ヤットコで口を塞ぎます。


こんな感じ。
次に、このヤットコで閉じた丸カンの口をロウ付けします。


これは「仮着機(かちゃくき)」と呼ばれる機械です。
簡単に説明しますと、電流を流してくっつけたい金属同士の表面を少しだけ溶かす機械です。

ロウ付けで一番大変なのは、溶接している時に素材が動く事。
とにかく相手は小さなパーツです。バーナーの風圧だけでも飛んでしまったりします。
プラチナや金のパーツをロウ付けで組み立てて行く時、この仮着機はとても重宝します。
(シルバーには向いていません)

そして今回は、この仮着機の別の機能を使います。
とても小さな箇所のロウ付けが、この仮着機では可能なのです。


この様にピンセットで挟んで、ロウを置き、一瞬だけ熱を通します。


無事にロウが溶けて、丸カンの口を閉じる事ができました。


もう一度、全体を磨いていきます。


細かい所は、リューターで丁寧に磨きます。


綺麗に磨けました。

さて。ここからはチェーンを通す箇所につけた丸カンの種明かしです。

実は今回、お客様からご要望がありました。
「チェーンの中でトップがあっちこっちにずれるのが嫌なので
トップがチェーンの中心からずれない様にしてほしい。」
との事です。

普通なら、小さな丸カンをトップの両端に取り付けて、チェーンを通す形に変更するのですが
このペンダントトップは、構造上丸カンを付けるとすっきりしたデザインを損なう様な気がしました。
そこで今回は
「本来のチェーンが通っていた部分の内部に丸カンを取り付け、それを潰す」
と言う方法にしました。
この方法なら、よっぽど強く引っ張らない限りチェーンが動くこともありません。


チェーンを丸カンに通します。


ヤットコでそっと丸カンを潰します。


潰れた丸カンが見えるでしょうか?
これでチェーンが固定されました!


完成です。


本来のすっきりしたデザインを活かせたと思います。
イエローダイヤモンドとホワイトダイヤモンドのコントラストも美しいですね。
チェーンもカットの入ったものを使いましたので、キラキラです。

お客様には
「違うデザインのネックレスを新しく買ったみたい!」
と喜んでいただけました。
プラチナは、磨くと本当に綺麗になりますね。
生まれ変わったペンダント。末長く使っていただければと思います!

2020.07.24

石が外れてしまった指輪の修理/

こんにちは。
コロナが相変わらず猛威を振るっていますね・・・。
夏は落ち着くのかなと勝手に思っていたのですが。

色々と厳しい状況が続いていますが、「誉ノ錺(ほまれノかざり)」は今出来る事を見つめて
ただ、淡々とお仕事をしていきたいと思います。

今日は、指輪の修理のお話です。
昔から使われていた指輪です。石が取れてしまったのだそう。

ダイヤモンドが一粒外れてしまっています。

全体はこんな感じのデザインです。側面の唐草が可愛らしいですね。

近くで見ると、爪のあたりもかなり傷がついています。長い時間使っていただいていた印象です。

石の外れた箇所です。

ここで、1つ困った事が分かりました。
職人に見せたところ、石の外れた箇所の爪がとても薄くなっていて
このまま留め直してもまたすぐに外れてしまうとの事。
そこで、石が留まっていた穴をもう少し深く彫って石を沈め
石の背を低くして、爪の分厚い箇所で留め直そうという事になりました。

ただそうすると、横から見た時に、周りの石との高さが変わってしまいます。
そこで、今回はすべての石を外して留め直す事にしました。

石を、注意深くすべて外します。

外された石です。とても透明度の高い美しいダイヤモンドです!

確かに、他の爪もなかなか薄くなっていますね。石を外すとよく分かります。

1つずつ、石座を深く彫っていきます。

彫りました。これで石が、最初よりも深く沈んでくれます。

彫った部分や、石を留めると磨けなくなってしまう部分を磨きます。
この部分が美しい方が、ダイヤモンドが綺麗に輝くので重要な作業です。

磨きました。

タガネで、再度ダイヤモンドを留めて、全体を磨きます。

綺麗になりました。

そして、ここで職人の一声。
「こういうデザインは、昔はこの唐草の部分だけつや消しやったんや。」と。
という訳で、この部分はザラザラな感じに仕上げる事にしました。
確かに、デザインのアクセントになって美しい・・。
横から見ても、ダイヤモンドの高さが揃っていますね。

ダイヤモンドもピッカピカ。
新品のようになりました!

お客様もとても喜んで下さり、「また使います!」とのお言葉をいただきました。

プラチナや、ダイヤモンド製のもの、その他金製のものでも、洗ったり磨いたりするだけで
びっくりするぐらいピカピカになります。
そして、古いデザインに見えていたものが、急にお洒落なものに見えてくる事もあります。

お家のタンスの中でずっと眠っている貴金属達を、再度お洒落のアクセントにされてみませんか?
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」が、お手伝いをさせていただきます。
どうぞお気軽にお問い合わせください。

2019.10.02

無事に終えることができました/

こんにちは。
10月に突入ですね。今年は1年が早いです。
ほんっとうに早いです(笑)。
きっと、新しい試みや新しい人達に沢山会えて、充実していたからだと思います。
年末の挨拶みたいになってしまいましたね(笑)。

そして「誉ノ錺(ほまれノかざり)」にとってこれも初の試みだった
「ルース展示販売会&ジュエリーオーダー会」
9月29日に、無事終えることが出来ました。

今年の6月頃に、beautiful stone様からお声がけをいただき。
7月には下見にわざわざ横浜から来て下さり。
ああでもないこうでもないと試行錯誤し続け、時には掃除が嫌すぎて泣いて(笑)
あっという間に終わりました。

展示会当日、日頃は居住空間として使っているスペースまで解放しました。

1つ1つ丁寧にパッケージングされた石達。

色とりどりの石があって、キラキラ好きとしては喉から手が出るほど欲しい(笑)。

いつもは店舗として使っている空間は、石を吟味する場所として使っていただきました。

皆さま真剣そのものです。

展示場所に戻ったり、見ている石を取り替えたり。

今回とても印象的だったのは、お客様の石に対する想いです。
最初beautiful stone様と、1枠ごとの時間を「2時間」半ずつにすると決めた時
正直「若干長いかな・・・」と思っていました。
でも、どの枠の皆さまもきっちり2時間半いらっしゃる!
その間、ずっと石をご覧になっているのです。
「天然石」と言うものの魅力を、再確認できた1日でもありました。

最近、Twitterなどで色石がブームになっているようです。
テレビ番組「マツコの知らない世界」でも色石が紹介されていましたよね。
私達ジュエリーに携わる者としては、とても嬉しい流れだと思います。

でもその反面、石に詳しくない業者から購入してトラブルになったケースなどの
話も聞くようになりました。

「色石」と言う分野は、10年以上このお仕事をして来た私でも
手に負えないほど難しい分野だと思っています。
30年職人をして来た人でも、見間違うことがあります。
そして石は決して「硬い」物ではありません。
強く叩きつけたりすると、劈開によってはサファイアでも割れます。

よくお客様から、持ち込まれた石を
「この石は何?サファイア?」
などと聞かれることがあるのですが
極力その場では答えず、正確な鑑別をお勧めしています。
色や輝き方を目視するだけでは、その石のはっきりとした素性は分からないのです。

せっかく色石を好きになって下さった方達の気持ちをがっかりさせないように。
これからも「誉ノ錺(ほまれノかざり)」は、できるだけ正確な情報をお客様にお伝えしていきたいと思っています。
何かわからない事があれば、どうぞお問い合わせ下さいね。
手を尽くして、調べさせていただきますので。

美しいものを愛でる心は、この時代にとても大事な要素だと思います。
beautiful stone様の、石に向き合う真摯な気持ちを見せていただき
また来年も、第二弾を開けたら良いねとお話しました。
その時は、またここでご紹介したいと思います。
どうぞ楽しみにお待ち下さい。

コラムの画像は、今回のお客様が気に入ってご購入下さった「誉ノ錺(ほまれノかざり)」の商品
「mignon ーこねこー」の後ろ足です(笑)。
猫の商品も、もっと作りたいなあ・・・。

2019.01.15

こんな素敵なひのき舞台に立ちました

こんにちは。
2018年12月にご紹介した「誉ノ錺(ほまれノかざり)」のオーダー品
「柔らかな四角のマリッジリング」ですが。
実は結婚式にもお呼ばれして、参加させていただいておりました。

柔らかな四角のマリッジリングはこちらです。

ブライダル専門のカメラマンをなさっている奥様と
バーの経営をされている旦那様。
お二人とは長年の友人なのですが、マリッジリングを作らせていただくだけでも嬉しいのに
式にまで招待していただけるなんて感無量な気持ちです。

そして結婚式場は、奥様の勤めていらっしゃるチャペルでのお式でした。
チャペルの奥には、こんな美しいステンドグラスが!


花嫁さんのベールが、赤い絨毯に映えてとても綺麗です。


お互いに指輪を交換されて・・。


この笑顔!


お二人は本当に幸せそうで(旦那様はプラス照れ臭そうで(笑))
見ているこちらまで、幸せな気持ちになった素敵な結婚式でした。

そして、チャペルの地下に併設されている披露宴会場で、披露宴です。
ウェディングケーキのファーストバイトの、大きさに戸惑う新郎さん(笑)


そして新婦さんのご親友からの、歌の贈り物です。


彼女は、バンドのボーカルもされているので、圧倒的な歌唱力。
新婦さんを思う彼女の歌声と、暖かな歌詞の内容に、ジーンときてしまいました。

披露宴会場でお願いして、お二人の指輪の写真も撮らせていただきました。


この指輪は「柔らかな四角のマリッジリング」のページに詳しく書いている通り
片方はプラチナ、片方はシルバーでできています。

お客様の中には、お仕事上毎日は身につけられなかったり
着け外しの多いお仕事だったりと、様々な使い方があります。
今回はそんなお仕事上の問題を考慮して、旦那様の指輪はシルバーでお作りしました。

マリッジリングは一生ものです。
お二人がこれから歩まれる長い人生の中で、出来るだけ暮らしにも寄り添いたい。
そんな思いから出来上がったリングです。

この写真は、奥様の職場で一緒に働かれているカメラマンからの写真です。

やっぱりプロの写真は全然違いますね・・!!
一緒に写っている指輪は、ティファニー製の婚約指輪。
この指輪と重ね付けできるデザインが、お二人のご要望でした。

どうぞお二人とも末長くお幸せに。
心からおめでとうございます!

2018.09.02

オーダーメイドの里帰り

こんにちは。
随分以前にお作りした「カラーストーンのピンキーリング」「アクアマリンのリング」との二つが
お客様の手元から戻って来ました。
「少し汚れて来たので、リフレッシュ加工をしてほしい」との事です。


これが戻りたての指輪達。確かに、少し小キズが目立ちますね。


拡大してみると、石の裏にも汚れが付着しているのが見えます。

とはいえ、この二つの指輪。6〜7年も前にお作りしたものです。
その割には、状態がとても美しい・・・!
多少の小キズというものは、使っているとどうしてもついてしまうものですし
6〜7年お使いいただいている割には、石の裏も綺麗です。
きっと、大切に扱ってくださっていたのでしょうね。
作品が、全て「自分の子供」だと感じている私としては(笑)、本当にありがたい限りです。
新品のように、美しくしたいと思います!

まずは、洗って取れる汚れを全て取り除きます。
これは「超音波洗浄機」と呼ばれるもので、水を細かく振動させて付着した汚れを取り除くものです。
ここに、皮脂やその他の油分などを洗い流す特殊な洗剤を入れて使います。
うっかり自分の指をこの中に長く付けていると、ガサガサになります(笑)。


洗った後の石達です。
裏側の汚れが綺麗に取れて、輝きが増しました。


ただ、当たり前ですが小キズはまだ取れていません。
これからこの傷を磨いて取り除いていきます。

・・・・と思った矢先に問題が勃発。
職人が「カラーストーンのピンキーリング」を細かく点検している時に「ペリドットの石座の爪が浮いている」事に気付きました。

写真で分かるでしょうか?こんな感じで爪が石から浮いてしまっています。
ほっておくと石取れや爪が折れる原因にもなりますので、リフレッシュ加工の前に修理しておくことにします。

この灰色の固まりは「ヒートフォーム」と呼ばれるものです。
熱湯につけると柔らかくなる樹脂で、冷えると固まります。
柔らかい間に指輪を埋め込んで固定します。

こんな風にして、もう一度浮いてしまった爪を倒していきます。
小さいといえどもカナヅチで打ち直すとなると、力を入れ過ぎればペリドットは割れてしまいます。
このカナヅチの衝撃を少し弱めてくれるのも、ヒートフォームの大事な役割です。

アップで見るとこんな感じ。
本当に細かい作業です・・・。

爪が無事に倒せたので、ここから磨きに入っていきます。

高速回転しているバフに研磨剤を塗りつけて、そこに指輪を押し当てて小キズを取っていきます。
この時、石にはバフが当たらないように極力注意します。
そうしないと石のカット面まで削れてしまい、輝きが鈍くなってしまいます。


近くで見るとこんな感じ。
2本とも、丁寧にバフをあてていきます。

これがバフがけ直後の指輪達です。
全体的に黒ずんでいるでしょう?
磨いたバフの粉が付着している為です。

指輪の周りの水に、もやもやとした黒い湯気のようなものが見えないでしょうか?
これが、バフの粉です。
これを綺麗に洗って・・・。


これでリフレッシュ加工は終了です。
二つとも、とても綺麗になりました。

浮いていたペリドットの爪も、無事に押さえられました。

全体についていた小キズも取れています。

このコラムでも何度も書かせていただきましたが
ジュエリーという物は、大切に扱っていれば本当に長い間使っていただけます。
そして、石の裏にはどうしても皮脂が溜まりやすく
それを取り除くだけでもびっくりするくらい綺麗になります。
「最近この指輪、色あせてきたな」
「知らない間に傷だらけになってきたな」
など感じられた方は、ぜひ一度お買い求めになられたお店にご相談下さい。

最近のお店の中には「新品と取り返させていただきます」と提案してくるお店もあるようです。
新品と取り替えるのは、効率的には良いのかもしれませんが・・・。
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」としては、それはもったいないように思います。

服を丁寧に繕い直して、長く着るように
割れたお茶碗に「金継ぎ」をして、もう一度使うように

ジュエリーも、末長くお客様の元で可愛がっていただきたいと思います。
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」では、他のお店の商品達のリフレッシュ加工も承っております。
どうぞ、ジュエリーで何かお困りの事があれば、お気軽にお問い合わせくださいね。

2018.05.09

Van Clef & Arpels「アルハンブラ」のリメイク

こんにちは。
今日は、面白いお仕事をさせていただいたので、そのお話をしたいと思います。

これはオーダーでも修理でもないな・・・と思い。
「リメイク」という言葉を使わせていただきました。

これが、かの有名なVan Clef & Arpels「アルハンブラ」シリーズのイヤリングです。
(画像はVan Clef & Arpelsホームページからお借りしました)
とても高価なものなのですね・・・。お恥ずかしながら初めてお値段を知りました(笑)。

そしてこれが、お客様の持ち込まれたイヤリングの片割れです。

裏側も、イヤリング使用になっています。
お客様は「このイヤリングを、指輪として使いたい」との事でした。

普通の作り方としては

1,後ろのイヤリングパーツを取る
2,新たに作った金の指輪を、ろう付けで取り付ける

で完成!・・のはずなのですが。
実はこのイヤリングには、その作り方が使えません。

というのも、この白蝶貝でできたお花型の部分。
これは薄い貝で出来ています。
この薄い貝がとても熱に弱くて、ろう付け(溶接のようなもの)には耐えられないのです。
じゃあ、留めている爪の部分をおこして中の白蝶貝を取り出して・・・という方法もあるのですが。
爪を起こしている時に、白蝶貝に力がかかって割れてしまうかもしれません。

そこで今回は「レーザー」という方法をとらせていただきました。
レーザーは、全体に熱をを通して行う「ろう付け」とは異なり
1点集中でロウを溶かして溶接のできる機械です。
残念ながら、「誉ノ錺(ほまれノかざり)」にレーザーの機械はないので(とても高額!!)
今回は、業者さんにお願いしました。

パーツを作って、イヤリングの裏部分を取って綺麗に整えて・・・。
そして出来上がったのがこちらです。

このイヤリングは、裏の部分にとても美しい細工をしてあったので、できるだけ残しました。

2本の唐草と、支えの柱を1本付けています。

アルハンブラ特有のミル打ちを指輪全体にも施して、デザインに共通点をもたせました。
Van Clef & Arpels「アルハンブラ」シリーズにも指輪はあるのですが
あえてデザインは似せていません。
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」が一番美しいと思うデザインで
アルハンブラをリメイクさせていただきました。

色々なお仕事をさせていただいていますが、こういったブランド品のリメイクは初めてです。
イヤリングの裏側にまで、気持ちのこもったデザインが施されていて
ここは潰さず生かしたいなと思う箇所がありました。

丁寧に作られたものを見ると、こちらまで嬉しくなりますね!
お客様にも大変喜んでいただけて、良かったです。