カテゴリー: 商品紹介

2020.12.30

2020年を無事に終えられそうです。/

皆様本当にお疲れ様でした。
2020年は、みんなが少しずつ我慢をしていた年だったと思います。

様々な理不尽や憤りは山ほどありましたね。
国はあてにならないなと、自分達でやるしかないのだと思い知らされた1年でした。
今はそんな事思い出しても胸糞が悪いだけですね(笑)。

私は18歳の頃から、うすぼんやりと
「ものづくりをして生きていきたい」と思っていた人間でして。
何とかかんとか続けてきましたが、今年ばかりはハラハラしました(笑)。

ものを作ると言う事の必要性と不必要性を、ずっと天秤にかけて感じていた1年だったと思います。
そんな中でも、お互いに励まし合って、今回の看板写真になっている機械で
ドロドロになりながら商品を磨き続けてくれた
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」の職人達には感謝の気持ちしかありません。
彼らのおかげで、新作をいくつか完成させる事ができました。

来年も、状況が急に好転する事はないでしょう。
そんな濁流のような時代でも、自分の足元をすくわれる事がないように
私は、地に足をしっかりとつけて制作をしていきたいと思います。

こんな時期にオーダーを下さったお客様
商品を購入して下さったお客様
本当にありがとうございました。

来年も「誉さんに頼んだら間違いないなあ」と満足していただけるブランドでありますように。
ジュエリーが、回り回って人の心を幸せにしてくれるアイテムであり続けられますように。

来年も、どうぞよろしくお願いいたします!

P.S・・「誉ノ錺(ほまれノかざり)」は有り難い事に
工房もお店も住んでいる所もほぼ徒歩圏内です(笑)。
年末も年明けも、ご連絡をいただければすぐにお店を開けられますので
どうぞお気軽にお問い合わせください!

2020.12.23

久しぶりの再会と、嬉しいご報告/

こんにちは。
いよいよ年の瀬ですね。
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」の店舗では、現在予約のお客様優先となっております。
事前にご連絡をいただければ、31日でも元旦でも店舗をご覧いただけますので
どうぞお気軽に、ご連絡下さいね。

さて。先日「誉ノ錺(ほまれノかざり)」からアップした「ガーネットとトルコ石のコンビネックレス」
お話を少ししたいと思います。

その日はスタッフの皆で、工房でお仕事をしていました。
そういう時は、店舗の扉に電話番号を書いた紙を貼らせていただいているのですが
電話がなって、急いで店舗に向かったところ
あれ・・?どこかでお見かけした顔。

実は、もう7年ほどお会いしていなかった方だったのです!
その方は、私が「誉ノ錺(ほまれノかざり)」を立ち上げて間もなかった頃。
まだ名刺を出す事も緊張していた時代にお会いした方でした。

お話を聞くと、なんと結婚が決まったと!
そして結納の場で送るジュエリーを作ってほしいとのお話でした。

久しぶりの再会と嬉しいご報告に、私もとても舞い上がった気持ちになったのですが
ここで1つ、考えなければいけない事が浮上しました。

旦那様曰く「彼女(奥様になられる方)が、ジュエリーを身に付けているところをほぼ見た事がない」
との事。
お話を進めていくと、決してジュエリーが嫌いという訳ではなさそうなのですが・・・。

これは、デザイナーにとってかなりハードルが上がります。
ジュエリーがお好きな方なら(そしてご本人が目の前にいらっしゃれば)、今までどういった
物を購入されたかなどをお聞きすれば、気に入っていただけるデザインもご提案しやすいのです。

でも今回は
・サプライズである(ご本人がいらっしゃらない)
・ジュエリーを身につけているところをほぼ見た事がない(好みが一切分からない)

流石に、頭が真っ白になってしまいました(笑)。

まずは、お客様から奥様の写真を見せていただき
(穴が空くぐらい見せていただきました)
日頃彼女がどんな服装をされているかを聞き
(お好きなファッションのジャンルが少しでも分かればと思いました)
今回の、お客様のジュエリーに対する想いをお聞きしました。

そうやって出来上がったのが、今回の「ガーネットとトルコ石のコンビネックレス」です。

奥様がジュエリーにあまり慣れていらっしゃらなかった場合
急にものすごく凝ったデザインにしてしまうと、気後れしてしまうかもしれない。
色々考えた末に出来上がった形です。

お二人の誕生石を使って
お二人が常に寄り添い合える関係でいられる事を願い、チェーン上に2つ並べました。
デザインで少しアクセントが欲しかったので、それぞれの石座の形を変更しました。
チェーン部分はプラチナにして、全体の色味に変化をつけました。

いつもの私なら
「石座の金属も、それぞれ色を変えましょう!」と言うと思います。
「小さい石を足して、もっとキラキラさせましょう!」とか言うと思います。

そこを抑えて抑えて・・・過度になりすぎないように・・・。
奥様がさっと簡単に身につけられるように・・・。
自分と格闘しながらの製作でした(笑)。

デザインて不思議です。
凝りすぎてもいけない。凝らなすぎてもいけない。
その時、その相手が望むものにすり合わせていく。
自分の思いも込めて。

・・・・・一生勉強ですね(笑)。
奥様がこれを機会に、ジュエリー好きになって下されば良いなと心から思います。
どうぞ末長くお幸せに!

2020.11.11

ダイヤモンドペンダントのリフォーム/

こんにちは。
だんだんと冬の空気になってきましたね。

今日はリフォームのご依頼を受けたので、その流れを写真と共にご紹介したいと思います。
題名の下の写真が、お預かりしたダイヤのネックレスと指輪です。

ネックレスのチェーンは切れていました。
ボールチェーンなので、修理する事も可能なのですが
せっかくなので、チェーンも一新したいとの事。

指輪の方はピンキーリングで、旦那様からのプレゼントだそうです。
ただ、ピンキーリングは他にも持っていらっしゃるので
今回、このネックレスと思い入れのあるピンキーリングの石を組み合わせて
新しいネックレスを作る事にしました。


まずは、ピンキーリングから石を外していきます。


手元はこんな感じです。
なぜこの箇所を切るかと言うと、石の留め方が関わっています。
この石は、指輪の両腕で石を挟む様な感じで留められています。
という事は、腕の片方を切って、幅をを広げれば石を外せるはずです。
石を外す時、一番大切な事は「留められている石を傷付けない事」だと思います。
石に出来るだけ負担がかからない様に、様々な方法を考える事も職人の腕の見せ所です。


カットができました。


切れた方の腕をヤットコで持ち、慎重に広げていきます。


無事に石が取り出せました。


綺麗なダイヤモンドですね!


次に、このダイヤモンドの石座を作っていきます。
画像の上の方に写っている線が、石座の爪になります。


石座を組み立てて、爪をロウ付けをして


石座ができあがりました。


次に大きい方のダイヤモンドを、石座から一旦外します。
ロウ付けしないといけないので、大きな石を留めたまま火をあてるのは危険ですものね。
こんな風に、ヒートフォームで石座を固定します。


これはプラチナなので、そっと石にかかっている爪を起こしていきます。


手元はこんな感じ。
薄い刃を、ダイヤと爪の間に入れて爪を起こす様な感じです。
気を付けないと、爪がちぎれたり、石に力が伝わって割れてしまうので細心の注意を払います。


無事に石座から外す事ができました。


先ほどのダイヤモンドの石座の裏に、小さな丸カンを取り付けました。


チェーンが通っていた隙間にも、丸カンを付けました。
これには大きな理由があるのですが、それは後ほどお話しします。

小さい方のダイヤモンドを、石座に留めていきます。


慎重に慎重に・・・。


石が留まりました。

次に大きなダイヤモンドの方も、元の石座に留めていきます。

無事に留まりました。
イエローダイヤは美しいですね!


両パーツとも、軽く磨きました。

先ほど付けた小さな丸カンもピカピカですね。
次にこちらを組み立てていきます。


丸カンに通して


ヤットコで口を塞ぎます。


こんな感じ。
次に、このヤットコで閉じた丸カンの口をロウ付けします。


これは「仮着機(かちゃくき)」と呼ばれる機械です。
簡単に説明しますと、電流を流してくっつけたい金属同士の表面を少しだけ溶かす機械です。

ロウ付けで一番大変なのは、溶接している時に素材が動く事。
とにかく相手は小さなパーツです。バーナーの風圧だけでも飛んでしまったりします。
プラチナや金のパーツをロウ付けで組み立てて行く時、この仮着機はとても重宝します。
(シルバーには向いていません)

そして今回は、この仮着機の別の機能を使います。
とても小さな箇所のロウ付けが、この仮着機では可能なのです。


この様にピンセットで挟んで、ロウを置き、一瞬だけ熱を通します。


無事にロウが溶けて、丸カンの口を閉じる事ができました。


もう一度、全体を磨いていきます。


細かい所は、リューターで丁寧に磨きます。


綺麗に磨けました。

さて。ここからはチェーンを通す箇所につけた丸カンの種明かしです。

実は今回、お客様からご要望がありました。
「チェーンの中でトップがあっちこっちにずれるのが嫌なので
トップがチェーンの中心からずれない様にしてほしい。」
との事です。

普通なら、小さな丸カンをトップの両端に取り付けて、チェーンを通す形に変更するのですが
このペンダントトップは、構造上丸カンを付けるとすっきりしたデザインを損なう様な気がしました。
そこで今回は
「本来のチェーンが通っていた部分の内部に丸カンを取り付け、それを潰す」
と言う方法にしました。
この方法なら、よっぽど強く引っ張らない限りチェーンが動くこともありません。


チェーンを丸カンに通します。


ヤットコでそっと丸カンを潰します。


潰れた丸カンが見えるでしょうか?
これでチェーンが固定されました!


完成です。


本来のすっきりしたデザインを活かせたと思います。
イエローダイヤモンドとホワイトダイヤモンドのコントラストも美しいですね。
チェーンもカットの入ったものを使いましたので、キラキラです。

お客様には
「違うデザインのネックレスを新しく買ったみたい!」
と喜んでいただけました。
プラチナは、磨くと本当に綺麗になりますね。
生まれ変わったペンダント。末長く使っていただければと思います!

2020.10.28

オーダーメイドを更新しました「ブラウンダイヤモンドのピアス」/

こんにちは。
今日は、新しいオーダーメイドを更新しましたので、そのお知らせです。

詳しくはコチラをご覧下さい→「ブラウンダイヤモンドのピアス」

とてもすっきりとしたピアスです。

お客様のご要望は「華やかだけど、お客様よりは目立たないようなおしゃれなピアス」。

お客様は美容室のオーナーです。
長年の苦労の末、ご自身のお店を立ち上げられ、その後沢山の美容師を輩出されてきました。

大切なのは「お客様を輝かせる事」。
その為に、出来るだけ自分の装飾品などは控えめにされていたとの事です。

彼女の、社長としての思いやりや指導力には、本当に頭の下がる思いで
いつもお話させていただいておりました。
そんな彼女に似合うピアスを考え抜き、出来上がったのが
この「ブラウンダイヤモンドのピアス」です。


すっきりとしたフォルムが、彼女にぴったりですね。
そして、これは、本当に細やかなこだわりなのですが。
このピアス、本体と、チェーンをつなぐ丸カンがありません。

このピアスは、上の写真のように、チェーンの垂れている面が少しくり抜かれています。
そこに、チェーンを通したプラチナ線を渡して、両端を溶接したのです。

このサイズのピアスで、丸カンが目立つと無粋だと思いました。
どんなに小さな丸カンでも、デザインの流れがそこで止まってしまうような気がしたのです。

そして、職人みんなで考えて考えて、試し抜いた結果、このやり方に辿り着きました。

お客様が、最初からお持ちのブラウンダイヤモンドと合わせて撮った写真です。
「これはセット使いが出来るね」と、お客様にはとても喜んでいただけました。

今、心底ホッとしています(笑)。

シンプルである事の難しさを、痛感した作品になりました。
本当に、デザインも作りも一生勉強ですね!

2020.09.04

石取れ修理と新品加工/

こんにちは。
ようやく暑さが例年並みになってきた感じでしょうか。
今年の夏は暑さとコロナで、個人的には一切外に出ない夏になってしまいました。
来年は、もう少し季節を楽しみたいものですね。

そんな夏でしたが、お客様が修理のご依頼を下さったので
今回は修理の流れを写真で撮ってみました。


こちらが、お預かりした指輪です。
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」でお作りさせていただいた「トライバルと花モチーフのマリッジリング」です。


こちらが、お預かりした当初の写真です。
長く使って頂いているので、小キズが目立つようになってしまいましたね。
でも職人側としては、ずっと着けて下さっていたのだなと嬉しく感じる瞬間です(笑)。


そして、こちらの写真。
中心にサファイアを留めていたのですが、なくなっています。
職人とルーペで見ながら相談したのですが
爪が飛んでいたり、大きく変形している箇所はありませんでした。
どうも、サファイアが割れてしまったようです。

この指輪は、少し特別な指輪で
お花部分が、指の腹側にくるようなデザインになっていました。
お客様に聞いたところ、硬いものを握るようなお仕事があった模様。
どうも、その繰り返しでサファイアが割れてしまったようです。

と言う訳で。
今回は、石を留め直して、新品加工もさせていただく事にしました。

枠のサイズに大体合ったサファイアを用意します。


まずはこんな台で、指輪を固定します。

そして石のサイズを改めて測ります。
万が一、はさみ損ねて石が飛んでもなくならないように、下にチリトリを置いています。


石座の形を整えていきます。
「石座をくる」と言う言い方をするのですが、こんな形の先で石座の形を整えます。


これはピンバイスというもので、今回のようなカッターの先を、鉛筆みたいに使える道具です。


ピンバイスの先に、石座をくるカッターをしっかりと固定します。

ルーペで見ながら、石座の形を整えていきます。
今回は、削りすぎると石座が広がって、石が留まらなくなってしまうので
ピンバイスを使い、手動で慎重に削っていきます。

手だけ見るとこんな感じです。


石座にカッターを差し込んで、指で回転させています。
これで少しずつ、石座の内側の金属が削れていきます。


削れた金属をブラシで出来るだけ取り除きます。


ワセリンを軽くつけた竹串で、サファイアを石座に置いてみます。


石が、良い感じの深さにおさまってくれました。


次は、顕微鏡を使って、石を留めていきます。


手元の写真です。タガネというもので、石の周りの金属を寄せて爪にします。
ここも気をつけないと、石に力が入り過ぎて割れてしまいます。


綺麗に留まってくれました。


ワセリンや、削りカスを洗ってみました。
石は無事に留まっているようなので、ここから新品加工にうつります。


まずはヘラという工具で、大きな傷をならしていきます。
というのも、キズがあまりに深いと、そこを削るような磨き方になってしまうので
指輪自体の形がいびつになったり、指輪が薄くなってまう事があります。


手元はこんな感じです。
ツルツルの金属を擦り付けて、でこぼこの傷をならしています。

これが、ジュエリー全般を磨く機械です。バフ台と呼ばれています。
下に転がっているのは、リューターの先に付ける様々なパーツと色々な種類の磨き粉です。

こんな感じで磨いていきます。

手元です。
ものすごい速度で回転している、磨き粉のついた布に金属をあてて傷を取っていくような感じでしょうか。
文章で書くのは難しいものですね(笑)。


大きな箇所が磨けたら、最後は細かい部分をこんなパーツで磨いていきます。
この円盤みたいなところが回転します。この円盤は硬い紙でできています。
例えば缶ビールの6本セットのパッケージとか。
職人さんによって、この紙の部分は好みがあるようでダンボールだったり、何かのパッケージだったりします。
なので、工房の隅に積んである紙の束を「ゴミ?」と思って捨ててしまうと
とても悲しい顔をされる事があるので、要注意です(笑)。


磨き終えたら、超音波洗浄機で磨き粉を綺麗に洗い流します。

綺麗に磨けました。


サファイアも、きちんと留まっています。
小キズもなくなりましたね!

これが、今回の修理と新品加工の流れです。
修理や新品加工とひと口に言っても、その方法は様々です。
作りを分かっている人でないと出来ない作業も沢山あります。

何度もコラムでは書いていますが
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」の作品は、全て一流の職人の技術の上に成り立っています。
美しいものを作る事と、それを作れる職人を育てていく事。
今は、そのどちらもが、とても大切な事だと思います。

2020.06.15

店舗営業再開のお知らせ/

こんにちは。
4月からコロナの影響で、閉めていたお店の営業を
明日6月16日火曜日から、再開させていただきたいと思います。

「誉ノ錺(ほまれノかざり)」の店舗をご存知の方達には周知の通り
うちのお店は本当に狭くて。
今回の店舗営業再開も、ずっと二の足を踏んでいました。

コロナは、まだ詳しい事は何も分かっておらず
私も正直不安な気持ちは拭いきれておりません。
お客様の不安を100%消す事は出来ないかも知れませんが
可能な限りの予防策をとって営業を再開させていただきます。

①接客中は、マスクを着用させていただきます。

②玄関にアルコールジェルを設置いたします。入店の際にご利用ください。

③出来るだけ換気をして、空気がこもらないようにいたします。

④当面の間、営業時間をお昼12:00〜19:00に変更いたします。
また店舗休業日でも、事前にご予約をいただければ
何時からでも店内をご覧いただいたり打ち合わせができますので
どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。

そして「誉ノ錺(ほまれノかざり)」では、メールでの商品のご案内もさせていただいております。
これまでも京都までは来られないお客様と、メールで打ち合わせは何度もさせていただきました。
お店にいらっしゃる事が不安なお客様は、ぜひHPの「店舗紹介」から「お問い合わせ」をご利用ください。

ジュエリーは、生活が切羽詰まっている時に購入するものではありません。
でも、心が荒んでいる時、悲しい時、元気を与えてくれる大切な存在だとも思います。

皆様の疲れた心を、ジュエリーで少しでも癒せますように。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

2019.08.21

色石でここまで変わります

こんにちは。
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」のある、ここ京都では
毎日厳しい暑さ(たまにゲリラ豪雨)が続いております・・。

もうそろそろ暑さもお腹いっぱいな感じですが。
前回のコラムでご紹介しました
「ルース展示販売会&ジュエリーオーダー会」
も、約1ヶ月先に迫ってまいりました。

今日は、「ルース」によってジュエリーがここまで変わるという良い例を
いくつかご紹介させていただきたいと思います。

今年に入ってから
「既存のネックレスの中心の石を、別の石に変更したい」というオーダーが、いくつかありました。
正直、どんな風に仕上がるのか未知の部分があったのですが
これがまた良い感じに仕上がりまして。

これは「誉ノ錺(ほまれノかざり)」の商品「百花」のピンクゴールドバージョンです。
真ん中にペリドットを留めて、爽やかな印象に仕上げています。

これが、今回オーダーをいただいた中心をアクアマリンにしたバージョンです。

ペリドットの時とはまた違う、柔らかい雰囲気が出ていると思います。
アクアマリンの色に合わせて、周りのカラーサファイアの色味も変更しました。

これは「誉ノ錺(ほまれノかざり)」の商品「明けの明星」です。
サファイアとオパールの上品な輝きが、胸元をクールに演出してくれます。

これが、中心をペリドットに変更したバージョンです。

何か、ノスタルジックな感情を思い起こさせるような、柔らかい雰囲気に仕上がっています。
オパールとの相乗効果もバッチリですね。

こういうお仕事が来た時、毎回色石の持つ力に圧倒されてしまいます。
「これはさすがに合わないやろう」と思う組み合わせも、びっくりするほどしっくりきたり。
自然から生まれた石達には、合う合わないなんてないのかもしれません。
デザイナーとして、とても勉強になるお仕事でした。

9月29日の「ルース展示販売会&ジュエリーオーダー会」でも、ルースを見ながら
「この石とこの石を組み合わせたらどうだろう」
と、いろいろ楽しんでいただけたらなと思います。

「ルース展示販売会&ジュエリーオーダー会」は、まだ若干お席に空きがあります。
どうぞお気軽に「誉ノ錺(ほまれノかざり)」までお問い合わせ下さいね。

こちらがbeautiful stone様が書いてくださった展示会の記事です。
↓↓↓↓↓
清水五条 展示販売会&ジュエリーオーダー会

2018.05.09

Van Clef & Arpels「アルハンブラ」のリメイク

こんにちは。
今日は、面白いお仕事をさせていただいたので、そのお話をしたいと思います。

これはオーダーでも修理でもないな・・・と思い。
「リメイク」という言葉を使わせていただきました。

これが、かの有名なVan Clef & Arpels「アルハンブラ」シリーズのイヤリングです。
(画像はVan Clef & Arpelsホームページからお借りしました)
とても高価なものなのですね・・・。お恥ずかしながら初めてお値段を知りました(笑)。

そしてこれが、お客様の持ち込まれたイヤリングの片割れです。

裏側も、イヤリング使用になっています。
お客様は「このイヤリングを、指輪として使いたい」との事でした。

普通の作り方としては

1,後ろのイヤリングパーツを取る
2,新たに作った金の指輪を、ろう付けで取り付ける

で完成!・・のはずなのですが。
実はこのイヤリングには、その作り方が使えません。

というのも、この白蝶貝でできたお花型の部分。
これは薄い貝で出来ています。
この薄い貝がとても熱に弱くて、ろう付け(溶接のようなもの)には耐えられないのです。
じゃあ、留めている爪の部分をおこして中の白蝶貝を取り出して・・・という方法もあるのですが。
爪を起こしている時に、白蝶貝に力がかかって割れてしまうかもしれません。

そこで今回は「レーザー」という方法をとらせていただきました。
レーザーは、全体に熱をを通して行う「ろう付け」とは異なり
1点集中でロウを溶かして溶接のできる機械です。
残念ながら、「誉ノ錺(ほまれノかざり)」にレーザーの機械はないので(とても高額!!)
今回は、業者さんにお願いしました。

パーツを作って、イヤリングの裏部分を取って綺麗に整えて・・・。
そして出来上がったのがこちらです。

このイヤリングは、裏の部分にとても美しい細工をしてあったので、できるだけ残しました。

2本の唐草と、支えの柱を1本付けています。

アルハンブラ特有のミル打ちを指輪全体にも施して、デザインに共通点をもたせました。
Van Clef & Arpels「アルハンブラ」シリーズにも指輪はあるのですが
あえてデザインは似せていません。
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」が一番美しいと思うデザインで
アルハンブラをリメイクさせていただきました。

色々なお仕事をさせていただいていますが、こういったブランド品のリメイクは初めてです。
イヤリングの裏側にまで、気持ちのこもったデザインが施されていて
ここは潰さず生かしたいなと思う箇所がありました。

丁寧に作られたものを見ると、こちらまで嬉しくなりますね!
お客様にも大変喜んでいただけて、良かったです。

2016.10.30

仏様の手の上で

こんにちは。
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」では、お店に置くディスプレイも
できるだけ美しい本物を置きたいと思っています。

そんな時に、偶然アトリエの近くに引っ越してこられた方。
それが福田雲元工房
の福田雲元さんという仏師さんでした。

「職人」という言葉にとても弱い私達は、積極的に仲良くさせていただき(笑)。
今回、無理をお願いして、こんな素晴らしいものを作っていただきました。




これは、木で彫った仏様の手です。
施無畏印(せむいいん)という、仏様のいわばジェスチャーのような「印」を結んでおられる形です。
この印には「恐れを取り去る」という意味合いがあるそうです。

私は、昔から仏様の手の形が本当に美しいなと思っていて。
雲元さんとお話するにつれて
「仏様の手のような、美しい曲線のものを、ディスプレイに使いたい!」
と強く思うようになりました。

でも「お店のディスプレイに使いたいので、仏様の手を作ってください。」
というのはあまりにも罰当たりな気がして。
「雲元さんが、お仕事を通して思う一番美しい『手』の形を作ってもらえませんか?」
とお願いしました。
何度も作っている過程で、ご相談させていただき
雲元さんからしたら、それは大変なお客だったと思います(笑)。

この手は、1本の太い丸太を削り出して作ってあります。
ジュエリーでは、最後は目のとても細かい研磨剤で磨き上げるのですが
仏師さんが使われるのは、何百本というノミだけ。
光に当てながら面と面との境界線を丹念に削っていき、それを繰り返すことで
最後はツルツルになるのだそうです。
気の遠くなるような仕事量に、頭の下がる思いでした。



「誉ノ錺(ほまれノかざり)」の作品達が、とても落ち着いて、楽しく手の上で遊んでいるように見えます。

私は出身がデザイナーなので、自分で作ることはもちろん好きなのですが
こういう能力の高い技術を見ると「他の何かに活かせないか?」という思いが湧き上がってきます。
こんな素敵なジュエリースタンドがあったら、お部屋の雰囲気が一気に落ち着くと思いました。

福田雲元工房さんの作品は、どれも完成度の高い素晴らしい作品です。
これからも、ちょくちょく雲元さんには無理な事をお願いしようと思っています(笑)。