2025.04.23
薄くなった指輪のお修理/
こんにちは。
今日は、指輪の修理についてのお話です。
どんな指輪でも、長く使えば指の内側の金属が薄くなったり傷が付いたりします。
そんな指輪を、今日は出来るだけ新品に近付けたいと思います。

お預かりした指輪です。全体に細かな傷がついているのがわかります。

裏を見ると..刻印がありました。「Pt900」となっていますね。これはプラチナでできているようです。


実はこの指輪、この内側が問題でした。
ものすごーく薄くなっているのが分かるでしょうか?
今にも折れてしまいそうです。

拡大してみると・・・薄くなった部分には継ぎ目が見えます。
もしかしたら、昔一度お修理をされていたのかも知れません。
お客様は、随分前にこの指輪を使われていました。
今回偶然見つけられて、綺麗になるのならもう一度使いたいと仰っていました。
なので
①薄くなった指輪の部分を差し替える
②全体を磨く
という順番で、今回はお修理していきたいと思います。

まずは「超音波洗浄器」という機械で、水を震わせて汚れを落とします。


超音波洗浄器から出した指輪です。
これで大方の汚れは取れました。
汚れがついたまま火を使うと、汚れが焼きついてこびり付いてしまう事があります。
これで安心してお修理できますね。

薄くなってしまった指輪の裏側を糸のこで切り取ります。

切り取れました。


次は、この指輪のサイズに合わせたプラチナの地金を作っていきます。

少し形や薄さを整えて


板に丸みを付けるために、木槌で叩いていきます。

良い感じに丸みがつきました。

お修理する指輪と並べるとこんな感じです。

切り取った板の部分と、加工したプラチナの板を並べてみました。
この板を、指輪にはまるサイズにカットしてろう付け(溶接)していきます。

ろう付けしています。


ろう付けができました。

拡大してみても、隙間なく「ろう」が回っているのが確認できますね。

ここからは、やすりでいらない地金などを削って形を整えていきます。

大まかに削って

どんどん形を近付けていきます。


指輪と馴染んでくれました。
ここから、指輪の表側も含めて磨いていきます。

バフという機械で磨きます。


綺麗に磨けました。

裏側も綺麗に馴染んでくれました。


指にはめるとこんな感じ。
これなら、新品みたいに使って頂けますね。
プラチナや金でできたジュエリーは、磨き直すと本当に綺麗になります。
シルバー製のジュエリーも、お修理は少し手間がかかりますが不可能ではありません。
「昔使っていたけれど、また使いたい」
それはとても素敵な事だと思います。
昔、この指輪を作られた職人さん達も喜ばれているような気がして
私達にとっても大事なお仕事だと感じています。
古くなったり汚れてしまったジュエリー、もう一度お手入れして使ってみませんか?