2018.09.02
オーダーメイドの里帰り
こんにちは。
随分以前にお作りした「カラーストーンのピンキーリング」と「アクアマリンのリング」との二つが
お客様の手元から戻って来ました。
「少し汚れて来たので、リフレッシュ加工をしてほしい」との事です。
これが戻りたての指輪達。確かに、少し小キズが目立ちますね。
拡大してみると、石の裏にも汚れが付着しているのが見えます。
とはいえ、この二つの指輪。6〜7年も前にお作りしたものです。
その割には、状態がとても美しい・・・!
多少の小キズというものは、使っているとどうしてもついてしまうものですし
6〜7年お使いいただいている割には、石の裏も綺麗です。
きっと、大切に扱ってくださっていたのでしょうね。
作品が、全て「自分の子供」だと感じている私としては(笑)、本当にありがたい限りです。
新品のように、美しくしたいと思います!
まずは、洗って取れる汚れを全て取り除きます。
これは「超音波洗浄機」と呼ばれるもので、水を細かく振動させて付着した汚れを取り除くものです。
ここに、皮脂やその他の油分などを洗い流す特殊な洗剤を入れて使います。
うっかり自分の指をこの中に長く付けていると、ガサガサになります(笑)。
洗った後の石達です。
裏側の汚れが綺麗に取れて、輝きが増しました。
ただ、当たり前ですが小キズはまだ取れていません。
これからこの傷を磨いて取り除いていきます。
・・・・と思った矢先に問題が勃発。
職人が「カラーストーンのピンキーリング」を細かく点検している時に「ペリドットの石座の爪が浮いている」事に気付きました。
写真で分かるでしょうか?こんな感じで爪が石から浮いてしまっています。
ほっておくと石取れや爪が折れる原因にもなりますので、リフレッシュ加工の前に修理しておくことにします。
この灰色の固まりは「ヒートフォーム」と呼ばれるものです。
熱湯につけると柔らかくなる樹脂で、冷えると固まります。
柔らかい間に指輪を埋め込んで固定します。
こんな風にして、もう一度浮いてしまった爪を倒していきます。
小さいといえどもカナヅチで打ち直すとなると、力を入れ過ぎればペリドットは割れてしまいます。
このカナヅチの衝撃を少し弱めてくれるのも、ヒートフォームの大事な役割です。
アップで見るとこんな感じ。
本当に細かい作業です・・・。
爪が無事に倒せたので、ここから磨きに入っていきます。
高速回転しているバフに研磨剤を塗りつけて、そこに指輪を押し当てて小キズを取っていきます。
この時、石にはバフが当たらないように極力注意します。
そうしないと石のカット面まで削れてしまい、輝きが鈍くなってしまいます。
近くで見るとこんな感じ。
2本とも、丁寧にバフをあてていきます。
これがバフがけ直後の指輪達です。
全体的に黒ずんでいるでしょう?
磨いたバフの粉が付着している為です。
指輪の周りの水に、もやもやとした黒い湯気のようなものが見えないでしょうか?
これが、バフの粉です。
これを綺麗に洗って・・・。
これでリフレッシュ加工は終了です。
二つとも、とても綺麗になりました。
浮いていたペリドットの爪も、無事に押さえられました。
全体についていた小キズも取れています。
このコラムでも何度も書かせていただきましたが
ジュエリーという物は、大切に扱っていれば本当に長い間使っていただけます。
そして、石の裏にはどうしても皮脂が溜まりやすく
それを取り除くだけでもびっくりするくらい綺麗になります。
「最近この指輪、色あせてきたな」
「知らない間に傷だらけになってきたな」
など感じられた方は、ぜひ一度お買い求めになられたお店にご相談下さい。
最近のお店の中には「新品と取り返させていただきます」と提案してくるお店もあるようです。
新品と取り替えるのは、効率的には良いのかもしれませんが・・・。
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」としては、それはもったいないように思います。
服を丁寧に繕い直して、長く着るように
割れたお茶碗に「金継ぎ」をして、もう一度使うように
ジュエリーも、末長くお客様の元で可愛がっていただきたいと思います。
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」では、他のお店の商品達のリフレッシュ加工も承っております。
どうぞ、ジュエリーで何かお困りの事があれば、お気軽にお問い合わせくださいね。