2018.05.09
Van Clef & Arpels「アルハンブラ」のリメイク
こんにちは。
今日は、面白いお仕事をさせていただいたので、そのお話をしたいと思います。
これはオーダーでも修理でもないな・・・と思い。
「リメイク」という言葉を使わせていただきました。
これが、かの有名なVan Clef & Arpels「アルハンブラ」シリーズのイヤリングです。
(画像はVan Clef & Arpelsホームページからお借りしました)
とても高価なものなのですね・・・。お恥ずかしながら初めてお値段を知りました(笑)。
そしてこれが、お客様の持ち込まれたイヤリングの片割れです。
裏側も、イヤリング使用になっています。
お客様は「このイヤリングを、指輪として使いたい」との事でした。
普通の作り方としては
1,後ろのイヤリングパーツを取る
2,新たに作った金の指輪を、ろう付けで取り付ける
で完成!・・のはずなのですが。
実はこのイヤリングには、その作り方が使えません。
というのも、この白蝶貝でできたお花型の部分。
これは薄い貝で出来ています。
この薄い貝がとても熱に弱くて、ろう付け(溶接のようなもの)には耐えられないのです。
じゃあ、留めている爪の部分をおこして中の白蝶貝を取り出して・・・という方法もあるのですが。
爪を起こしている時に、白蝶貝に力がかかって割れてしまうかもしれません。
そこで今回は「レーザー」という方法をとらせていただきました。
レーザーは、全体に熱をを通して行う「ろう付け」とは異なり
1点集中でロウを溶かして溶接のできる機械です。
残念ながら、「誉ノ錺(ほまれノかざり)」にレーザーの機械はないので(とても高額!!)
今回は、業者さんにお願いしました。
パーツを作って、イヤリングの裏部分を取って綺麗に整えて・・・。
そして出来上がったのがこちらです。
このイヤリングは、裏の部分にとても美しい細工をしてあったので、できるだけ残しました。
2本の唐草と、支えの柱を1本付けています。
アルハンブラ特有のミル打ちを指輪全体にも施して、デザインに共通点をもたせました。
Van Clef & Arpels「アルハンブラ」シリーズにも指輪はあるのですが
あえてデザインは似せていません。
「誉ノ錺(ほまれノかざり)」が一番美しいと思うデザインで
アルハンブラをリメイクさせていただきました。
色々なお仕事をさせていただいていますが、こういったブランド品のリメイクは初めてです。
イヤリングの裏側にまで、気持ちのこもったデザインが施されていて
ここは潰さず生かしたいなと思う箇所がありました。
丁寧に作られたものを見ると、こちらまで嬉しくなりますね!
お客様にも大変喜んでいただけて、良かったです。