マリッジリングの修理とサイズ直し(女性用マリッジリング)

2017.09.27

マリッジリングの修理とサイズ直し(女性用マリッジリング)

こんにちは。
今回は、前回コラムに書かせていただいた
「マリッジリングの修理とサイズ直し(男性用マリッジリング)」
の、女性バージョンのお話です。

修理をする前の指輪

これが、お客様の指にはまっていた指輪です。
拡大してみると、不思議なダイヤモンドの留め方・・(埋まり方?)
(珍しいデザインだなあ)と内心思いながら、サイズ直しを始めました。

以前にサイズ直しされた箇所を取り除く

こちらも、一度サイズ直しをされた箇所があったので、その部分を一旦取り除きます。

指輪に新たなプラチナをはめ込む

新しいプラチナの破片を、挟み込みます。
元々の指輪の断面と、破片の断面ができるだけぴったりくっつくように
ヤスリなどで調整します。

溶けたロウが切断面に流れ込んでいる

ロウ付けした後の写真です。
プラチナの破片の上にも、溶けた金属がのっているのが見えると思います。
指輪本体とプラチナが、これでぴっちりとついてくれました。
「ロウ付け」の詳しいお話は
「マリッジリングの修理とサイズ直し(男性用マリッジリング)」
を、どうぞご参照ください。

粗めのヤスリで、形を整える

余分な金属を、粗めのヤスリで削り落としたところです。

細かい研磨剤で磨いた指輪

細かい研磨剤をつけて、全体も含めて磨き上げました。
これでサイズ直しは無事に終わりです。

ここで、新たな事実が発覚しました。
コラムの冒頭で(珍しいデザインだなあ・・)と感じていたこの指輪。
職人に見せたところ
「元々は彫り留めで留めてあったものが、すり減っている」
ということが分かったのです。

彼曰く
「ダイヤモンドが留まっている左あたりに、小さなミルうちの跡らしきものが見えるから」
とのこと。
「ミル打ち」というのは
「マリッジリングの修理とサイズ直し(男性用マリッジリング)」
にも登場しましたが、小さな丸いつぶつぶが連なっているようなデザインです。

正直、ここまで聞いてもなかなかピンとこなかった私(笑)。
職人さんの長年の勘を信じて、彫り留めを再現してもらうことにしました。

ダイヤモンドを指輪から外す

まずは、埋まっていたダイヤモンドを取り出します。
この指輪は裏がぬいてあって、少し薄い金属の上に石が留まっていました。
上からほじくり出すと、金属がさらに薄くなってしまい、破れてしまう可能性があります。
そこで、今回は、後ろからダイヤモンドを押し出しました。

固定してタガネで彫っていく

「マリッジリングの修理とサイズ直し(男性用マリッジリング)」
でもやっていたように、固定してタガネで彫りを再現していきます。

3つのダイヤモンドが留まったところ

石を3つ無事に留められたところ。
確かに!ここまで再現してもらうと、元々のデザインが見えてきます。
かなり長い時間をかけて、すり減ったのでしょうね。
職人に指摘してもらわなければ、普通に磨いて終わるところでした(笑)。
「長年の経験」には完全に脱帽です。

最終磨きをして仕上げる

仕上げの磨きをしたところです。これで完成です。

真円も綺麗に出すことができました。

新品はきっとこんな感じだったのでしょうね。

二つの指輪の修理を無事終わらせてお客様に納品した後、こんな嬉しいメールをいただきました。


「35年間という年月を経て経年変化を起こし
かなり窮屈になってしまった指輪たち。

サイズ直しをお願いしたはずのすっかりすり減っていた指輪たちが
キラキラと輝きを取り戻し、新品のようになって戻ってきて感激です。

嬉しくて、お揃いのケースに収まった指輪で
夫と35年目の指輪交換もどきをして遊びました。
サイズもピッタリでした。

心を込めて直してくださった指輪を
これからもずっと大切に身につけていきます。
そしてさりげなく指輪に目をやっては幸せな気持ちになると思います。

本当にありがとうございました。」


ありがたいお言葉です・・・。
そして、本当に幸せな指輪達です。

プラチナやダイヤモンドの商品は、適切な修理や加工をすれば
このように、ほぼ新品に生まれ変わらせることができます。
「デザインは気に入ってるけど、だいぶ汚いし・・・」
というものは、是非一度近くの宝石店さんなどに持って行ってみてください。
もちろん「誉ノ錺(ほまれノかざり)」でも、随時受け付けております。
ご相談だけでも大歓迎です。

「誉ノ錺(ほまれノかざり)」の作品も、これだけ長い間大事にしてもらえるような
唯一無二の作品を作り続けていきたいと思いました。
H様、素敵なお仕事をさせていただき本当にありがとうございました!

※このコラムは「マリッジリングの修理とサイズ直し(男性用マリッジリング)」
と対になっています。
どうぞ合わせてお読みください。