2017.09.20
マリッジリングの修理とサイズ直し(男性用マリッジリング)
こんにちは。
この前、あるお客様からマリッジリングのサイズ直しをオーダーいただきました。
それはお客様の旦那様のもので、形も少し歪み、傷も入っていました。
ふとお客様の手を見ると、お客様のマリッジリングも少しおつかれ気味・・・。
よくよくお聞きすると、サイズ直しは今までもしたことはあるが
直しながらも、35年間お使いいただいていたとのこと!!
なんて幸せな指輪達でしょうか(笑)。
そこで今回は、コラムを「男性用マリッジリング」と「女性用マリッジリング」に分けて
修理とサイズ直しの過程をご紹介していきたいと思います。
今回は、「男性用マリッジリング」の修理とサイズ直しです。
アップで見てみると、全体に施してあった上下のミル打ちが消えかかっている箇所があります。
斜めに入った線模様も、ややバラついていますね。
ここが以前にサイズ直しをした箇所かも知れません。
プラチナは少し火であぶると、サイズ直しのために溶接(ロウ付けと言います)した箇所が
浮き上がってきます。
写真は、火であぶって浮き上がらせた部分。
よく見ると、後から足した箇所にヒビも入っています。
まずはバーナーで温めて全体に火を回し、温度を上げて、後から足した金属を取り外します。
指輪の断面に合わせた、新たなプラチナの破片をはめ込みます。
これが「ロウ付け」と呼ばれている貴金属での溶接の仕方です。
先ほどはめ込んだプラチナの破片と、指輪の間に
「ロウ」という融点の低い金属の破片を置いて、火で溶かします。
指輪と破片の間に、金属が流れ込んでいるのがわかりますか?
これでロウ付けは終了です。
ここから形を整えていきます。
粗い目のヤスリで、大まかに形を整えたところです。
細かい研磨剤で磨いたところ。
ここから、今度は指輪についていた模様を再現していきたいと思います。
このように固定して、タガネというものを使って再現していきます。
「タガネ」は、金属を彫ったり模様をつけたりするのに使うものです。
写真のように手で押し付けたり、小さなハンマーで叩いたりもします。
この工程が終わったら、最後の仕上げの磨きに入ります。
完成です。
上下のミル打ち、斜めの線も、綺麗に再現することができました。
少し歪んでいた円も真円に戻りましたし、傷もありません。
プラチナの製品を修理していていつも思うのは、本当に長く使えるなあと言うこと。
やはり修理をしやすいという事が大きな理由の一つだと思います。
プラチナがマリッジリングに使われているのも、納得ですね。
このコラムは「マリッジリングの修理とサイズ直し(女性用マリッジリング)」に続きます。